私が責任をもってご紹介します!(文責・金子稚子)
10月8日(金)・9日(土)に開催するACP(人生会議)に関するセミナー。「ACP(人生会議)に本当に必要なことって何だろう?」という問いに対して、さまざまな立場の方から話を伺います。
ここでは、セミナーをより深く楽しんで&学んでいただくために、登壇者をお一人ずつ紹介しています。
今回は、8日(金)19:50〜に登壇予定の梶原栄治さんをご紹介します。
「頼まれたら断らないというスタンスで生きてきた」
千葉県松戸市で特別養護老人ホーム ひまわりの丘を運営する梶原栄治さんは、実は介護分野とはまったく違う仕事をしてきました。会社員として、営業の仕事に従事していたと言います。
ある日、転機が訪れました。
今から20年ほど前の平成10年のこと、松戸市出身の奥様のお父様、つまり梶原さんにとってはお義父様に、行政から特別養護老人ホームを作らないかという話があったのです。お義父様は農園をしており、まとまった土地を所有していました。
梶原さんはそれまで介護のことなど考えたことがなかったそうですが、それでも義父から声をかけられ、仕事帰りに行政の担当者からの話を聞くために義父の家に立ち寄り、一通りの話を聞き、その場で「やりましょう」と答えたそうです。
梶原さんは当時を振り返って言います。
「これまでずっと、頼まれたら断らないというスタンスで生きてきました。だから父から声をかけられた段階で、自分の中では“やるんだろうな”とある程度予想はしていました。でも、あまりにも簡単に『やります』と即答したせいか、行政の方からは逆に『いやいや、もう少しよく考えてくださいよ』と言われてしまいましたが(笑)」
遺族にアンケートを実施できる「看取りのプロジェクト」
梶原さんは肩の力が抜けていて飄々とした印象を受ける人です。この仕事を始めることになった前述のエピソードを聞いていても、梶原さんらしいなあと思います。
正直なところ、彼からは高齢者福祉に貢献するぞ!……などという「熱さ」はほとんど感じられません(笑)。話をする時もどこか遠慮がちだし、話を聞いている時も存在を消しているかのように気配が感じられない時すらあります。
しかし、この人はただ者ではない!と私は確信していました。
その確信が決定的だと思ったのは、梶原さんの施設で進められている「看取りのプロジェクト」のお話を伺った時です。
「看取りのプロジェクト」の詳細はセミナー当日にお話しいただくとして、このプロジェクトがいかにすごいかを知ることができる一つの証拠として、ご遺族へのアンケートの存在があります。
施設で亡くなられた方のご家族に、死別後の変化や看取った時に困ったことなどを聞いているのです。
死別後のご家族にアンケートを実施とは、それは相当にそれまでの話し合いが丁寧に行われ、信頼関係が結ばれていないとできることではありません。
そんな梶原さんですが、ACPには正直なところ懐疑的だと言います。
なぜなのか……? 当日はその辺りのお話も伺えたらと思います。
「寅の穴」での修行?が大きな転換点に
平成13年に特別養護老人ホーム ひまわりの丘はスタートしました。
施設長の研修は受けたものの「資格で仕事をするわけではない」と思っていた梶原さんですが、研修とあればしらみつぶしに参加し、学びを止めることはありませんでした。
そして、認知症介護指導者養成研修を受けることになりました。1カ月半もの間泊まり込んでの合計3カ月間の研修。あの長谷川式認知症スケールを開発した、精神科医の長谷川和夫先生が当時センター長を務められていた認知症介護研究・研修東京センターでの研修は、梶原さん曰く「虎の穴みたいなところ」だったそうです。
そこでの出会いを通じて、ケアマネジャーや社会福祉士の資格も取得した梶原さんは、活動をどんどん外に広げていきました。
現在では、一般社団法人 千葉県高齢者福祉施設協会の理事を務められ、松戸市内では、全24施設をつなぐ松戸市特別養護老人ホーム連絡協議会会長を今年3月まで務め、今は特別養護老人ホームだけではなく、介護に携わる多職種を集める松戸市介護サービス事業連合会会長として、行政との折衝や合同就職説明会などの連携事業の実施などにも力を注いでいます。
「特別養護老人ホームは『価格は安いが、たくさん入居待ちの人がいてなかなか入れない』といったイメージが先行し、有料老人ホームと比べ、特別養護老人ホームのサービス内容は下だという印象を持たれている」との危機感を持ち、質にこだわった素敵なケアを提供している多くの特養の真実の姿を伝えたいとも言います。
果たして、梶原さんの施設ではどのようなことが行われているのか。ACPの多様性を感じ取っていただけたら幸いです。
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